化学物質過敏症を知る(2)
エコ・リフォームをお考えの方が同時にもっとも心配される事柄として化学物質過敏症の問題があります。
化学物質過敏症は「気のせい」だとか「心配しすぎ」と片付けられがちですが、重篤な症状を引き起こす可能性がありますので、正しい知識をもって対処することが必要です。
2.本当の危険性
子どもたちの身体の安全性への危険がもっとも注目すべき点です。
子どもへの影響は大人の3倍といわれています。
また、思春期での影響は神経系への症状が悪化することが近年判明(2002年)し、挙動異常や・脳の自己異常・強迫神経症・学習機能障害・不眠・他の影響が出ます。シックスクールなども真剣に検討すべき問題であり、また、それを理解することのできる社会・なくしてゆこうという社会がきわめて重要です。子どもにとって安全であるべき学校の環境が原因で、子どもや教員が化学物質過敏症などを発症したり、または、すでに化学物質過敏症やアトピー、アレルギーになっている子どもや教員の症状が悪化するケースです。
化学物質過敏症を発症した子どもや教員の多くは、床に塗るワックスや教材に含まれる化学物質、教師のたばこや香水に反応して症状が出てしまいます。
また、校舎,校庭の新築や改修、樹木への農薬散布などにより、化学物質過敏症を発症した例もあります。
学校側が協力して、使う教材を出来るだけ安全なものに替えたり、教室の換気に気をつけたり、教師がたばこや化粧をやめるなどの対応を取れば、学校へ通える子どもたちもいます。しかし、化学物質に悩む子どもや教員が存在するという現実を知らないため、子どもや親、教員からの訴えをなかなか理解しようとしない担任や校長・教頭先生も目立ちます。
化学物質過敏症の「発症原因」の半数以上が、いわゆる「シックハウス」や「シックビル」、すなわち、室内空気汚染です。 新築やリフォームで使われる建材や家具から揮発するホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)、シロアリ防除や防虫畳に使われる農薬類、トイレ芳香剤や防虫剤として使われるパラジクロロベンゼンなどが汚染物質です。
室内空気以外では、農薬散布やごみ焼却による戸外の大気汚染や、医薬品、職場での化学物質(美容室のパーマ液、病院の消毒液、他人の喫煙など)が発症の引き金になりやすいです。
新建材(合板や塩ビ壁紙、防炎処理カーテン、トルエン・キシレンなどが含まれた塗料など)、農薬(防虫剤、殺虫剤、シロアリ防除剤、畳の防虫シート、蚊取り線香、農薬を使用された食品など)、芳香剤(トイレ用パラジクロロベンゼンなど)、たばこ、香水、香料、整髪料、ドライクリーニングされた衣類、インク(本、新聞、マジックやサインペンなど)、合成洗剤、塩化ビニール、プラスチック、食品添加物、塩素(水道消毒用など)、電磁波(家電など)、香りの強い天然の木(ヒバ、ヒノキなど)、カビ(すべて個人差あり)
患者は、化学物質が出来るだけ少ない環境への転地療養を切望しています。化学物質が少ない環境では、患者は見違えるほど元気になります。また、この疾患一般に効く“特効薬”はなく、転地療養が回復への近道とされています。
しかし、現実には、転地療養先を探すことはたいへん困難です。近年の住宅のほとんどは、化学物質を揮発させる新建材が使用されています。運良く古い家を見つけても、前の住人が使用していた防虫剤が染みこんでいたり、長い間閉め切られていた場合はカビなどの問題があります。
また、家の周辺環境も問題です。近隣でのごみ焼き、庭での農薬使用、新築やリフォーム、合成洗剤使用などは、常に患者の脅威です。
患者の中には、少しでも良い環境を求めて何度も引っ越しを繰り返し、お金をほとんど使い果たしてしまった方や、建ててすぐに買い替えの新築をせざるおえない方々もおられます。