天然化学物質の安全神話!?
エコ・リフォームに使用する建材(エコ建材)の安全性についての考察です。
「毒と薬は同じ」とは?
化学合成で作られる多くの医薬品,農薬,プラスチックなどはいわゆる「化学物質」と呼ばれるが,人々にあまりよい印象を与えていない。
正確に言うと化学物質でない物質はないのだが(人体などまさに化学物質の集まりだ),世間では化学物質=人工物質とされ,それは危険で,天然物(つまり天然化学物質)は安全だと思われている。
これは,自分たちの仕事を社会に対して積極的に伝えてこなかった化学者の責任と,マスコミの間違った報道によるところが大きい。
毒性を考えるには“もの”だけでなく“量”も考える必要がある。時には毒と薬は同じもので,使う量で呼び名が変わることもある。
南米産のある蛙の皮膚にある物質は,ふぐ毒の百倍以上の猛毒だが,リュウマチのよい薬である。
ダイオキシンで死ぬのは難しいが,コップ一杯のお醤油を一気に飲むと死ぬ危険がある。
科学者の間では常識でも,きちんと伝えなければ社会の常識にはならないことが多い。
科学者の常識が社会の常識となるよう,正しいことをわかりやすく伝えて,「非常識」と呼ばれぬようにしたいものである。
(抜粋:INS HP よりBRH Salon 023 023 高田十志和/大阪府立大学大学院工学研究科教授)
石油製品は排除すべきか
石油製品を目の仇にする風潮があるが確かにリスクの多いものは否定できないですが、食品添加物やガムベースに使われる酢酸ビニルやラップやコップに使われるポリエチレンなど比較的安全なものもあります。
もともと原料の原油は太古の海底に堆積した動物性プランクトンなどの微生物の死骸が高濃度に集まって出来たもので、それが化石化し化学変化したものです。
無添加せっけんのように動物が原料のものです。
もちろん石油製品の方がリスクがあるものが多いですが、酢酸ビニルと水だけで作った木工用接着剤では化学物質過敏症患者からも今のところ問題なく使えています。
また、家造りなど雨漏れが心配な外回りを自然素材だけでもたせるのは無理な話で、バケツなどわざわざ重くなる木や錆び易い鉄のバケツや洗面器を浴室や全ての水を使う場所に用意するのはさすがに抵抗があると思います。
電線ケーブルも曲がらない木や電気を流すのに金属のみで作れるわけも無い。
近代化した現在の生活をが、原始時代や江戸時代に戻せるものでもなく、またコンピューター化が昔の仕事やエネルギーを何100分の1にもしている桁違いの良い点も多いはずです。
近代化も認めつつその素材を新たな情報をもとに適材適所に素材を使い分ける必要が、面倒だがありそうです。
もちろん、消費者がそんなところに気を使うストレスを掛けなくとも、製造側で安全性と地球負荷のかからない素材で販売してくれたら悩まなくていいのですが…。
(森下 義樹)